「うちの子、理数系が得意だけど、普通の高校から大学受験を目指すのが正解なのかな?」
「15歳から本物の技術を身につけさせて、将来どこへ行っても必要とされる力をつけてほしい。」
広島県で、そんな思いを抱える保護者の方が一度は検討するのが呉高専(呉工業高等専門学校)です。
偏差値は64(目安)と、県内公立高校の上位校と同水準。
そして入試の中身が、知れば知るほど「呉高専らしい」のです。
学力選抜は905点満点のうち調査書が405点(約45%)——当サイトが30校以上を調べた中でも全国トップ級の内申重視型。
さらに英検2級などの資格があれば挑戦できる特別推薦という入口まで用意されています。
出口は、就職率100%・マツダや中国電力ネットワークなどへの就職に加えて、広島大学への編入(令和元年度までの累計153名・その後も毎年2〜5名)と東京大学への編入実績を併せ持つ、瀬戸内屈指の進学力。
この記事では、元高専職員・半導体業界経験者の視点から、公式の募集要項・公表データをベースに、2027年度入試を目指すご家庭に必要な情報をすべて解説します。
この記事でわかること
- 呉高専の偏差値64(目安)と方式別倍率(公式・3年分)
- 機械・電気情報・環境都市・建築の4学科の特徴(建築は女子が約半数)
- 調査書45%の「905点満点」入試と、平均点60%の足切りルール
- 英検2級などで挑める「特別推薦」の仕組み(3年連続で志願者全員合格)
- 広島大学・東京大学への編入実績と、専攻科から広大大学院への道
- 制服代まで含めた初年度経費の公式一覧と学生寮「嶺陽寮」
- 合格に向けた塾・オンライン学習サービスの選び方

この記事を読む前に:
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保護者向け・5分で読める記事です
呉高専とは?基本情報まとめ
まず「高専って何?」という方のために、簡単に説明します。
高専(高等専門学校)は、中学卒業後に入学できる5年制の学校です。
普通の高校と違い、15歳から専門教育が始まり、卒業時には大学レベルに近い専門力が身につきます。
卒業後は就職・大学編入・専攻科進学など、複数の道から選べるのが大きな特徴です。
呉高専があるのは、戦艦大和を生んだ造船の街・呉。
ものづくりの伝統が息づく土地で、60年以上にわたって技術者を育ててきました。
| 正式名称 | 呉工業高等専門学校(国立) |
|---|---|
| 所在地 | 広島県呉市阿賀南2丁目2-11 |
| 学科(定員) | 4学科・各40名=計160名 機械工学・電気情報工学・環境都市工学・建築 |
| 学びの分野 | 機械/電気・電子・情報/土木・環境/建築 |
| 女子比率・女子寮 | 本科26.3%(令和8年度・建築学科は46.3%)・女子寮あり(嶺陽寮・女子69名) |
| 偏差値 | 64※目安 |
| 入試の特徴 | 学力=905点満点のうち調査書405点(約45%)の内申重視型/特別推薦(資格・実績×面接のみ)あり |
| 配点・推薦のタイプ | 学力=5教科均等(500点)+調査書405点(調査書約45%・中1〜3の9教科)/一般推薦=内申基準なし(内申4.5以上で合格率9割超)・特別推薦=9教科3年間合計114(平均4.2)+資格・実績 |
| 進路 | 就職率100%(公式)。編入は広島大学・東京大学・九州大学など |
| 専攻科 | プロジェクトデザイン工学専攻(在籍62名)→広島大学大学院への道 |
| 学生寮 | 嶺陽寮(寮生312名・令和8年4月) |
出典:呉高専 令和8年度入学者募集要項・公式サイト「データで見る呉高専」(2026年9月確認)
偏差値・倍率:県内上位校と同水準、違うのは「出口」
このセクションのポイント
偏差値は64(目安)。一般推薦が2.3〜2.6倍の激戦です。
一方、特別推薦は3年連続で志願者全員が合格しています。
偏差値(2027年度入学対象)
| 学科 | 偏差値 |
|---|---|
| 機械工学科 | 64 |
| 電気情報工学科 | 64 |
| 環境都市工学科 | 64 |
| 建築学科 | 64 |
出典:みんなの高校情報2026年度版 ※目安
※偏差値はあくまでも目安です。高専入試は調査書比率45%という特殊な配点のため、一般的な偏差値指標とは単純に比較できません。情報提供サイトによって数値が異なる場合があります。
方式別の志願・合格状況(公式・3年分)
| 年度 | 特別推薦(志願→合格) | 一般推薦(倍率) | 学力検査(倍率) |
|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 19名→19名 | 162名→68名(2.4倍) | 132名→83名(1.6倍) |
| 令和6年度 | 18名→18名 | 181名→69名(2.6倍) | 142名→87名(1.6倍) |
| 令和7年度 | 19名→19名 | 153名→67名(2.3倍) | 132名→85名(1.6倍) |
出典:呉高専公式サイト「入学選抜実施状況」(倍率は公式算出値・2026年9月確認)
この表には、呉高専攻略の最大のヒントが隠れています。
まず一般推薦は2.3〜2.6倍の激戦。
令和6年度の建築学科は3.4倍・電気情報工学科は3.3倍まで跳ね上がりました。
一方で特別推薦は3年連続、志願者全員が合格しています。
後述する資格・実績の要件を満たせるなら、特別推薦が事実上の最有力ルートです。
「推薦」とひとくくりにせず、特別推薦と一般推薦を分けて戦略を立てるのが呉高専のコツです。
英検2級や数検2級を中3までに取れそうなら、特別推薦の要件づくりから逆算してください。
一般推薦しか出せない場合は、2倍超の勝負になることを覚悟して学力選抜との併願を。
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学科紹介:4学科で学べること

呉高専は4学科体制。
定員は各学科40名です(出典:令和8年度入学者募集要項)。
機械工学科
造船の街・呉の伝統を受け継ぐ、ものづくりの中核学科です。
就職先にはマツダ・本田技研工業・ダイキン工業・クボタなど、輸送機器・機械の大手が並びます(出典:公式・令和6年度実績)。
電気情報工学科
電気・電子・情報通信を横断して学ぶ学科です。
就職先は中国電力ネットワーク・関西電力送配電などの電力インフラから、日本IBM・アプライドマテリアルズジャパン(半導体製造装置の世界大手)まで。
令和5年度の求人倍率は40.6倍と、4学科で最高でした(出典:公式「データで見る呉高専」)。
そしてこの学科には、大きな変化の計画があります。
学校紹介2026によれば、令和9年度(2027年度)に電気情報工学科を「電気知能情報工学科」へ改組する計画(総額5.5億円・計画中)が示されています。
データサイエンス・機械学習・深層学習・情報セキュリティなどの先端情報科目を新たに導入し、情報棟の新設や小型AIコンピュータ50台の整備も計画に含まれます。
※設置計画は認可申請中で「内容には変更があり得る」と明記されています。2027年度入試の学科名・募集内容は令和9年度募集要項で必ず確認してください。
環境都市工学科
道路・橋・上下水道などの社会基盤と防災を学ぶシビルエンジニア養成学科です。
就職先は五洋建設・ショーボンド建設・広島県庁・国土交通省中国地方整備局など。
女子も約3割(209名中67名)在籍しています(令和8年4月現在)。
学校紹介2026が示す令和8年度の女子比率は、全体26.3%・機械12.8%・電気情報15.0%・環境都市32.1%・建築46.3%です。
建築学科——約半数が女子
設計から構造・施工まで、建築を一貫して学べる学科です。
在籍205名のうち女子が95名(約46%)と、ほぼ半数が女子(出典:公式「在学状況等」令和8年4月1日現在)。
就職先には大林組・五洋建設・大和ハウス工業・大建設計など建設・設計の有名企業が並び、広島県内で「15歳から建築を専門に学べる」貴重な選択肢です。
呉高専は「MECA女(メカジョ)養成プロジェクト」という女子学生支援の取り組みを公式に掲げている学校でもあります。
建築46%・環境都市32%という女子比率はその成果。
「ものづくりや建築に興味がある娘の進路」を探しているご家庭には、有力な候補になるはずです。
呉高専ならではの強み・特色
広島大学への「太いパイプ」——編入も、大学院も
呉高専の進学実績でまず注目してほしいのが、広島大学への編入です。
令和元年度までの累計で153名、その後も毎年2〜5名が編入しており、地元の総合大学への道がしっかり確立されています(出典:公式「大学編入学及び専攻科入学状況」)。
さらに呉高専は、専攻科(プロジェクトデザイン工学専攻)から広島大学大学院へ進む連携ルートを「広大大学院への道」として公式に打ち出しています。
高専5年+専攻科2年で学士を取り、広大の大学院へ——大学受験を一度もせずに、広島のトップ大学の研究室へ届く設計です。
この制度は2023年1月に広島大学大学院先進理工系科学研究科と協定を結んだ正式なルートです。
専攻科1年生が広大の研究室で共同研究に参加し、研究室の総合評価で大学院推薦入試の受験資格を得て、専攻科2年の7月に校長推薦で受験・合格するという流れ。
2026年4月時点で修了生8名がこの制度で広島大学大学院へ進学し、専攻科2年生8名が合格済みです(出典:学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認)「広島大学・呉高専 連携 大学院進学制度」)。
呉高専で学びながら広大教員の指導も受けられる、というのがこの制度の特徴です。
海外渡航75名・トビタテ採択は全国の高専で1位
意外に思われるかもしれませんが、呉高専は海外に出る学生が多い学校です。
2025年度の海外渡航学生数は75名(2024年度は49名)。
文部科学省の官民協働留学制度「トビタテ!留学JAPAN」高校生コースの採択数は全国の高専で1位・全国の高校でも7位で、奨学金・渡航支援金を受けた学生は62名です(出典:学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認)「国際交流」)。
渡航先はアメリカ・カナダ・オーストラリア・ドイツ・タイ・マレーシアなど。
「できるだけ家計の制約なく海外へ行ける経済的環境を整える」と学校側が明言している点は、保護者にとって安心材料です。
校内でも、1年生後期から4年生まで学科・学年を横断して取り組むPBL授業「インキュベーションワーク」があり、古着屋の改修やヒーローショーのイベント運営など、学生が自分でテーマを立てて動く場が用意されています(同資料)。
教育方針は「知識を知恵に」
由井義通校長は、公式サイトでこう述べています。
「呉高専では、学校の授業で習った知識(knowledge)を深め、知識と知識を関連付けて考えたりすることによって、知識を課題解決のための知恵(wisdom)に高めることができるような革新的な創造力と実践力の育成を図る教育をめざしています。」
呉高専 校長 由井義通氏(出典:呉高専公式サイト「校長あいさつ」・2026年9月確認)
卒業後の道は就職だけでなく、専攻科進学(学士取得)・大学編入・大学院進学と多様。
「多様な進路選択の可能性を広げる」ことを校長自身が明言している学校です。
入試制度の詳細:合否を分ける選抜方法
このセクションのポイント
推薦は「特別推薦」と「一般推薦」の2種類。性格がまったく違います。
学力選抜は905点満点で、調査書が約45%を占めます。
令和9年度の入試日程(公式確定)
| 選抜 | WEB出願 | 試験日 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 推薦選抜(一般・特別) | 令和8年12/14〜令和9年1/8 | 令和9年1月16日(土) | 1月27日(合格内定通知) |
| 学力選抜 | 令和9年1/25〜2/3 | 令和9年2月14日(日) | 2月26日 |
出典:呉高専公式サイト「入試関係スケジュール」(2026年9月確認)※追試験は推薦1/23・学力2/21、入学説明会は3/8
受験前に学校を見ておきたいご家庭向けに、入試説明会が呉高専10月4日(日)・広島10月12日(月)・福山10月18日(日)、学校見学会の第2回が10月31日(土・高専祭と同時開催)に予定されています(出典:学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認)「お知らせ」)。
見学会には「中学生なんでも相談会」もあり、入寮の可否についてもここで相談できます。
推薦を希望する場合も、学力選抜との併願ができます。
※令和9年度の入学者募集要項(配点・出願資格の詳細)は2026年9月時点で未公開です。本記事の選抜方法・配点は令和8年度募集要項に基づいており、変更される可能性があります。要項公開後に必ず公式サイトでご確認ください。
特別推薦:英検2級などの「資格・実績」で挑む——3年連続全員合格
呉高専でいちばんユニークな入口が、この特別推薦です。
| 内申基準 | 中1〜中3の9教科の学業成績の総計が114以上(平均4.2以上) |
|---|---|
| 資格・実績要件 (いずれか1つ) |
・英検2級/数検2級/理科検定2級/基本情報技術者試験のいずれか以上に合格 ・都道府県以上の科学技術系コンテストで優れた成績 ・体育系で県大会8位(団体)・16位(個人)以内かつ上位50% ・文化系で県以上の大会で優れた成績 ・県選抜メンバー相当 |
| 選抜方法 | 面接のみ(入学意欲・適性・特別活動実績等を総合評価) |
出典:令和8年度入学者募集要項(資格試験以外は中2・中3の活動が対象・学校あたりの推薦人数に制限なし)
そして先ほどの表のとおり、特別推薦は3年連続で志願者全員が合格しています(令和5〜7年度・公式実施状況より)。
「内申4.2以上+英検2級」を中3までにそろえられれば、1月の面接だけで進路が決まる可能性が高い——これが呉高専の最短ルートです。
もちろん定員や年度による変動はあるので「必ず受かる」わけではありませんが、狙う価値は十分にあります。
一般推薦:調査書270点+面接135点の405点満点
一般推薦は、数値の内申基準こそないものの、調査書270点+面接135点=405点満点と配点が公表されています(出典:令和8年度募集要項)。
配点の3分の2が調査書=内申の高い子から順に決まっていく選抜です。
倍率は2.3〜2.6倍と、呉高専の入試でいちばんの激戦区。
個人面接は15分程度で、志望動機や学習意欲が問われます。
では、内申がどれくらいあれば一般推薦で受かるのか。
学校紹介2026には「調査書成績(3年間9教科の平均)と合格率」のグラフが公表されています。
| 内申点(3年間9教科の平均) | 一般推薦の合格率(令和8年度・グラフ読み取り) |
|---|---|
| 4.5以上 | 9割超(令和6〜8年度いずれも約9割以上) |
| 4.0以上4.5未満 | 約5割(年度により5〜6割台) |
| 3.5以上4.0未満 | ほぼ1割未満 |
出典:呉高専「学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認)」一般推薦の合格率(R8年度)※グラフからの読み取り値のため目安です
つまり一般推薦は、内申平均4.5以上ならほぼ合格、4.0台前半なら五分五分、4.0未満なら難しいという構造です。
「具体的基準なし」とされる一般推薦ですが、実質的な合格ラインはこのグラフが教えてくれます。
学力選抜:500点+調査書405点の905点満点
| 項目 | 配点 | 割合 |
|---|---|---|
| 学力検査(理・英・数・国・社 各100点) | 500点 | 約55% |
| 調査書 | 405点 | 約45% |
| 合計 | 905点 | — |
出典:令和8年度入学者募集要項(割合は編集部計算・マークシート方式)
調査書の比率約45%は、当サイトが30校以上の配点を調べた中でも最高水準です(宇部高専の42%を上回ります)。
つまり呉高専の学力選抜は、当日の一発勝負というより「3年間の通知表×当日の実力」の総合戦。
検査場は呉(本校)・広島・福山の3会場から選べます(事前相談不要)。
学校紹介2026では、合格者の教科別平均点も公表されています。
| 年度 | 理科 | 英語 | 数学 | 国語 | 社会 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 66.2 | 81.8 | 54.1 | 86.2 | 70.0 |
| 令和7年度 | 73.7 | 67.7 | 65.8 | 82.4 | 76.8 |
| 令和6年度 | 65.6 | 76.0 | 70.1 | 72.1 | 68.5 |
出典:呉高専「学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認)」合格者の学力試験成績の平均点(各100点満点)
令和8年度は数学の平均が54.1点と、5教科でいちばん低くなりました。
数学が難しかった年でも合格者の平均は5割台——「数学で高得点」より「5教科で穴を作らない」ことが、均等配点+足切りの呉高専では効きます。
また、令和8年度は推薦で不合格になった105名が学力選抜を受け、そのうち60名が合格しています(同資料)。
推薦で落ちても半数以上が学力で合格している——「推薦→学力」の2段構えが現実的な戦略だとわかります。
学力選抜でも内申別の合格率は、平均4.0以上で9割前後、3.5以上4.0未満で5〜7割程度(グラフ読み取り・令和6〜8年度)と、内申の差がはっきり出ます。
【令和9年度から】広島商船高専との連携入試——1回の検査で第5志望まで
2027年度(令和9年度)入試から、呉高専は広島商船高専との「広島県内2高専連携入試制度」を始めます(出典:国立高等専門学校機構プレスリリース・2026年4月23日)。
| 仕組み | 1回の学力検査(5教科の共通問題)で呉高専と広島商船高専の両校に出願できる |
|---|---|
| 志望学科 | 呉高専の4学科を第4志望まで選べ、第5志望として広島商船高専・総合科学科(電子情報システム系・流通情報マネジメント系)を選択可能 |
| 判定 | 第1志望校で合否判定→不合格なら第2志望校で判定 |
「呉高専に届かなかったら、同じ検査の得点で広島商船へ」という県内2校のセーフティネットが新設されるわけです。
なお機構の発表では学力検査は「5教科の共通問題」とされており、社会を含む5教科体制は令和9年度も継続する見込みです。
【要注意】平均点60%の「足切り」ルール
もうひとつ、呉高専だけの明文ルールがあります。
「学力検査の各教科のいずれかの得点が、その教科の学力検査の平均点の60%に満たない場合は、原則として不合格とします」(令和8年度募集要項・原文)。
合計点が足りていても、1教科でも平均点の6割を下回ると不合格になり得る——苦手科目の放置が許されない設計です。
5教科をまんべんなく仕上げることが、呉高専対策の大前提になります。
入試の仕組みがわかったら、次は具体的な対策です。
高専入試に対応した塾・サービスをまとめた記事はこちらです。

【要注意】呉高専の「905点満点」入試ルールを味方につける
このセクションのポイント
調査書45%+足切りルール=「日々の定期テスト」が最強の受験勉強です。

内申点の戦略:3年間の通知表が45%
特別推薦(内申4.2)・一般推薦(調査書270/405点)・学力選抜(調査書405/905点)——
どのルートを選んでも、内申が合否の中心にあるのが呉高専です。
広島県公立入試に準じた調査書が使われるため、中1からの9教科の成績がそのまま効いてきます。
「受験勉強はいつから?」という質問への呉高専的な答えは、「今日の定期テスト対策から」。
毎回の定期テストで内申を積み上げることが、3つの入口すべてを同時に太くします。
当日点の戦略:均等配点+足切り対策
学力検査は5教科均等の各100点。
傾斜がない分、得意科目での大量リードは作りにくく、苦手1教科の失点と足切りリスクがそのまま響きます。
「平均点の60%」を全教科で確実に越えるため、苦手科目の底上げを最優先にしてください。
高専の学力検査は全国共通問題・マークシート方式なので、過去問での形式慣れも必須です。
【保存版】わが子の合格可能性は?呉高専の合格シミュレーション
公式の募集要項・実施状況をもとに、「今どの位置にいるか」を整理しました。
| わが子の今の状況 | 合う受験ルート | アドバイス |
|---|---|---|
| 9教科平均4.2以上+英検2級などの資格 | 特別推薦(最有力) | 3年連続全員合格の実績。面接準備を12月までに。資格が未取得なら中3前半までに挑戦を |
| 内申平均4.5以上・資格・実績はない | 一般推薦+学力併願 | 内申4.5以上の一般推薦合格率は9割超(公式グラフ)。面接準備を整えれば最有力ルートのひとつ |
| 内申平均4.0〜4.5 | 一般推薦+学力併願(学力が本命) | 一般推薦の合格率は約5割。不合格でも学力選抜では内申4.0以上の合格率が9割前後。推薦落ち105名中60名合格(令和8年度)の実績を前提に2段構えで |
| 偏差値64前後・内申は平均的 | 学力選抜 | 調査書45%のビハインドを当日点でカバーする戦い。5教科の穴をなくし足切りを回避 |
| 中1・中2で呉高専が気になり始めた | いちばん有利な位置 | 内申4.2と英検・数検2級を目標に設定すれば、特別推薦ルートが現実的に狙える |
※本表は公式の募集要項・入学選抜実施状況(令和5〜7年度)・学校紹介2026の合格率グラフをもとにした当サイト独自の整理です。合格を保証するものではありません。
合格に向けて:今すぐ始める2つの準備
呉高専の入試構造から、対策の優先順位ははっきりしています。
準備1:定期テストで内申を積み上げる。
調査書45%+推薦の内申基準——呉高専はとにかく内申の学校です。
自宅で9教科の定期テスト対策を回すなら、スタディサプリのような月額型サービスが相性の良いタイプです。
高専受験生の保護者向けに使い方をまとめた記事はこちら。

準備2:高専過去問で「5教科バランス」を仕上げる。
平均点60%の足切りがあるため、苦手科目対策の優先度が高い学校です。
市販の過去問3冊を実際に購入して比較したレビュー記事を参考に、1冊を早めに用意してください。

中学3年生からでも、まずは無料で相談や体験ができる塾・サービスを比較してみましょう。
\ 中3からの高専対策を比較する /
保護者向け・5分で読める比較記事です
就職・進学実績:呉高専の進路力
このセクションのポイント
就職率100%・求人倍率は学科別で29〜40倍(公式)。
マツダから広島県庁まで、地元と全国の両にらみができます。
令和5年度の就職率は全学科100%。
求人倍率は機械31.7倍・電気情報40.6倍・環境都市29.5倍と、学科別の公式数値が公表されています(出典:公式「データで見る呉高専」)。
令和7年度は全学科で30.59倍(就職希望者1人あたりの求人会社数)。同じ資料で示された広島県の高校卒4.33倍・大学卒1.66倍と比べると、高専卒の需要の高さがわかります(出典:学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認))。
| 卒業年度 | 就職 | 大学等へ編入 | 専攻科 |
|---|---|---|---|
| 令和4年度 | 53名 | 20名 | 27名 |
| 令和5年度 | 57名 | 23名 | 20名 |
| 令和6年度 | 60名 | 18名 | 22名 |
| 令和7年度 | 78名(47%) | 59名(36%) | 29名(17%) |
出典:呉高専「学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認)」卒業後の進路
注目は令和7年度の変化です。
大学への編入が前年の18名から59名へ急増し、進学が53%と就職を上回りました。
学校側も「本年度、進学者が飛躍的に増加中」と説明しており(同資料)、「就職に強い呉高専」から「就職も進学も選べる呉高専」へと進路の幅が広がっています。
主な就職先(令和6年度・公式)
| 機械工学科 | マツダ・本田技研工業・ダイキン工業・クボタ・三浦工業・西日本旅客鉄道 など |
|---|---|
| 電気情報工学科 | 中国電力ネットワーク・関西電力送配電・中部電力・日本IBM・アプライドマテリアルズジャパン・ローツェ など |
| 環境都市工学科 | 五洋建設・ショーボンド建設・竹中土木・広島県庁・国土交通省中国地方整備局 など |
| 建築学科 | 大林組・大和ハウス工業・西松建設・フジタ・大建設計・日本製鉄 など |
出典:呉高専「就職状況(令和6年度)」公式PDF
マツダ・中国電力系という広島の看板企業群に加えて、公務員(県庁・国交省)や半導体関連(アプライドマテリアルズ・ローツェ)まで。
造船と半導体の両方が集まる瀬戸内の産業地図が、そのまま就職先に表れています。
大学編入:広島大学と東大、2つの「その先」ルート
高専卒業生は、大学入学共通テストを受けずに、編入試験で国立大学に進めます。
呉高専の編入実績は、この「出口の強さ」の見本のような内容です。
看板は「広島大学ルート」
地元・広島大学への編入は令和元年度までの累計で153名。その後も毎年2〜5名と、途切れることなく続いています。
そして本科5年→専攻科2年(学士取得)→広島大学大学院という「広大大学院への道」も公式ルートとして整備済み。
広大を目指す県内の子にとって、高校受験→大学受験の王道と並ぶ「もう一つの広大ルート」です。
東京大学への編入も——実績で語る上振れ
| タイプ | 主な編入先(公式・令和6年度時点) |
|---|---|
| 広島大学 | 累計153名(令和元年度まで)+毎年2〜5名(令和2〜6年度) |
| 東京大学 | 累計12名+令和2・5・6年度に各1名(※東大・京大は2年次編入) |
| 旧帝大クラス | 九州大学(累計28名+毎年2〜5名)・大阪大学(累計30名)・東北大学・北海道大学・名古屋大学・京都大学 |
| 中四国の国立大 | 岡山大学(累計62名)・山口大学(累計57名)・熊本大学(累計41名・令和6年度5名)・愛媛大学 |
| 技術科学大学 | 豊橋技術科学大学(累計168名)・長岡技術科学大学(累計65名) |
| 校内進学 | 呉高専専攻科(累計512名・毎年29〜47名)→広島大学大学院へ |
出典:呉高専「大学編入学及び専攻科入学状況」公式PDF(累計は令和元年度まで・原本を目視確認)
より新しい「過去5年間」の実績(令和8年4月時点)も、学校紹介2026で公表されています。
| タイプ | 編入先(過去5年間の人数) |
|---|---|
| 旧帝大クラス | 九州大学(16名)・大阪大学(4名)・北海道大学(3名)・東京大学(2名)・東北大学(2名) |
| 広島大学 | 15名(中国地方の大学では最多) |
| 中四国の国立大 | 岡山大学(6名)・山口大学(5名)・愛媛大学(4名)・島根大学(3名)・香川大学(3名)・高知大学(2名) |
| 関東・その他の国立大 | 熊本大学(12名)・千葉大学(9名)・横浜国立大学(6名)・京都工芸繊維大学(4名)・東京農工大学(3名)・奈良女子大学(3名)・九州工業大学(3名) |
| 技術科学大学 | 豊橋技術科学大学(26名)・長岡技術科学大学(20名) |
出典:呉高専「学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認)」大学編入学実績(過去5年間・令和8年4月時点・原本を目視確認)
「堅実に広大へ」も「上振れで東大へ」も、実績のあるレールが両方敷かれているのが呉高専の編入です。
偏差値64の入口からこの出口——大学受験を経由しない分、5年間を実力づくりに全振りできる高専ルートの強みが凝縮されています。
学生寮(嶺陽寮)のリアル:費用・生活・サポート

呉高専の学生寮嶺陽寮(れいようりょう)は学校敷地内にあり、312名(うち女子69名)が共同生活を送っています(出典:公式「学生寮」ページ・「在学状況等」令和8年4月1日現在)。
「課外教育施設」と位置づけられた教育寮で、自主性・協調性を育てる場として運営されています。
1年生の約4割(167名中65名)が寮生活からスタートしており、広島市内や県外からの入学も現実的です。
| 寮生数 | 約310名(全学生の約3分の1) |
|---|---|
| 入寮の目安 | 通学時間が片道90分以上(可否は学校見学会の相談窓口で相談可) |
| 寮生活に必要な経費 | 月額約13,000円(冷暖房費を含む) |
| 給食費 | 月額約40,000円 |
| 始業時刻 | 8:50 |
出典:呉高専「学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認)」学生寮(嶺陽寮)ページ
寮の経費と給食費を合わせて月額約53,000円が目安です。
冷暖房費込みで1万3千円という寮費は、国立高専の中でも標準的な水準。
「片道90分以上」という入寮の目安が示されているので、広島市西部や福山・県外からの通学を迷うご家庭は、学校見学会で相談してみてください。
保護者が安心できるサポート体制
経済的支援(学費・奨学金)
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 高等学校等就学支援金(1〜3年) | 年額234,600円支給=国立高専の授業料が実質無償。令和8年度から所得制限なし |
| 高等教育の修学支援新制度(4・5年) | 世帯収入に応じ授業料減免+給付型奨学金(多子世帯への支援拡充あり) |
| 災害時の特例 | 災害救助法適用地域で被災した受験者への検定料免除 |
出典:文部科学省「高等学校等就学支援金」・令和8年度入学者募集要項(2026年9月確認)
学校紹介2026には、進路パターン別の授業料総額(入学料を除く)の比較も載っています。
| 進路パターン | 授業料の総額(目安) |
|---|---|
| 高専5年(1〜3年無償・4〜5年234,600円×2年) | 約47万円 |
| 高専5年+専攻科2年(学士取得) | 約94万円 |
| 高専5年+国立大学へ編入(3・4年) | 約154万円 |
| 高校3年(無償)+国立大学4年 | 約214万円 |
| 高校3年(無償)+私立大学理系4年 | 約460万円 |
出典:呉高専「学校紹介2026(呉高専公式・2026年9月確認)」授業料(入学料を除く)※国立大は文部科学省令の標準額、私立大は文科省「令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査」から学校側が算出
高専から専攻科まで7年通って学士を取っても約94万円。
高校から国立大学へ進む約214万円の半分以下です。
「学費を抑えて学士まで」という観点でも、高専+専攻科は保護者にとって現実的な選択肢です。
入学時にかかる費用も正直に
呉高専は「データで見る呉高専」ページで、入学時の経費を公式に一覧公開しています(令和6年度入学者)。
| 入学料 | 84,600円 |
|---|---|
| 授業料(年額) | 234,600円(就学支援金で実質無償・1〜3年) |
| 教科書・教材等 | 約65,000円 |
| 制服代 | 約80,000円(呉高専は制服のある高専です) |
| 学生会・後援会費等 | 41,500円 |
| 初年度合計 | 約505,700円(授業料含む・支援金適用前) |
出典:呉高専公式サイト「データで見る呉高専」修学経費(2026年9月確認)
費用を隠さず公式に示してくれるのは、保護者にとってありがたい姿勢です。
授業料が実質無償になる分、実負担は入学時の制服・教材関連が中心になります。
よくある質問(Q&A)
Q1:高専と普通の高校、何がいちばん違うのですか?
最大の違いは「15歳から専門教育が始まり、5年間で専門職レベルまで到達する」ことです。
大学受験がない分、実験・実習やコンテストに打ち込めます。
呉高専なら広島大学への編入・広大大学院への道もあり、進学の選択肢はむしろ広がります。
Q2:特別推薦は本当に狙えるルートですか?
公式の実施状況では、令和5〜7年度の3年連続で志願者全員(19名・18名・19名)が合格しています。
要件は「9教科平均4.2以上」+「英検2級・数検2級・理科検定2級・基本情報技術者のいずれか、または県レベルの大会実績」。
中1・中2のうちからこの2つを目標に据えれば、十分に狙えるルートです。
ただし面接での意欲・適性評価はあるので、「全員合格が保証されている」わけではない点はご注意を。
Q3:内申があまり高くないのですが、チャンスはありますか?
正直に言うと、呉高専は調査書45%+推薦も内申中心と、内申の比重がとても大きい学校です。
ただし学力選抜なら当日500点分の挽回余地があります。
中3の成績も調査書に反映されるので、今からの定期テストで1点でも内申を上げること、そして当日は5教科すべてで足切りライン(平均点の60%)を確実に越えることが戦略になります。
Q4:女子でも呉高専はおすすめできますか?
建築学科は約46%が女子で、ほぼ半数です。
学校全体でも女子は約26%(839名中221名)で、公式の「MECA女養成プロジェクト」など女子学生支援を明確に打ち出しています。
嶺陽寮にも女子が69名暮らしており、県外・遠方からの女子の進学にも対応しています。
Q5:広島市内から通えますか?受験会場は?
JR呉線で通学している学生が多く、広島市内からの通学は一般的です。
学力選抜の検査場は呉(本校)・広島・福山の3会場から選べるので、受験時に呉まで行く必要もありません(事前相談不要)。
通学が難しい場合は嶺陽寮という選択肢もあります。
X投稿から呉高専を知る

まとめ:わが子の「理系の好き」を最強の武器に変える15歳の選択
呉高専は、造船の街のものづくり伝統と、広島大学・東京大学へ届く進学力を併せ持つ、瀬戸内屈指の国立高専です。
入試のポイントは3つ。
調査書45%の905点満点——日々の定期テストがそのまま最強の受験勉強になること。
特別推薦という最短ルート——内申4.2+英検2級などの資格で、3年連続全員合格の入口に立てること。
平均点60%の足切り——苦手科目を作らない5教科バランスが必須なこと。
出口は就職率100%・マツダから広島県庁まで。
そして「堅実に広大へ、上振れで東大へ」という2本の編入レール。
コツコツ型の子が正当に報われる入試設計は、内申を大切にしてきたご家庭への何よりのご褒美です。
気になったら、まずは学校見学会・入試説明会で親子でキャンパスを確かめてみてください。
そして対策の軸は「9教科の内申+5教科のバランス」。
まずは無料で相談や体験ができる塾・サービスを比較してみましょう。
なお「内申重視型の高専」としては、調査書42%の宇部高専も同じタイプです。
中国地方であわせて検討する場合は、こちらの記事もどうぞ。

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【免責事項】本記事の情報は2026年9月時点のものです。寮費・進路・編入実績・合格率などは呉高専公式「学校紹介2026」に基づきます。
入試情報は「令和8年度入学者募集要項」・公式「入試関係スケジュール」(令和9年度日程)・高専機構プレスリリース(連携入試)に基づきます。令和9年度の入学者募集要項(配点等)は執筆時点で未公開のため、出願の際は必ず呉高専公式サイトで最新の要項をご確認ください。
偏差値などの数値は目安であり、情報提供サイトにより異なる場合があります。


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