半導体はスマートフォンや自動車、AIに欠かせない「産業のコメ」と呼ばれる分野です。
日本でも再び半導体産業強化の動きが進み、TSMCの製造工場(JASM)が熊本に進出したり、北海道に拠点を整備中のRapidusを国が全面的に支援していることは、ニュースで多く取り上げられています。
日本の企業間連携も盛んになっていて、レゾナックが中心となって立ち上げた「ジョイント3(JOINT3)」は、その象徴ともいえる企業間連携の取り組みです。
この記事では、ジョイント3に参加する代表的な企業とその強み、採用実績のある大学や共同研究の事例を紹介します。
さらに、「将来この分野で働きたい!」と考える中高生や保護者に向けて、今から取り組める勉強法やおすすめ学習サービスもご案内します。
ジョイント3とは?
レゾナックが2023年に発表した半導体材料の研究開発プラットフォームです。
このプラットフォームでは、半導体材料・装置・設計の分野において世界トップクラスの企業が集結しました。
515 x 510mmサイズのパネルレベル有機インターポーザー試作ラインを用いて、パネルレベル有機インターポーザーに適した材料・装置・設計ツールの開発を推進します。
「515 x 510mmサイズのパネルレベル有機インターポーザー」って何?
インターポーザーとは、複数の半導体チップを相互接続するための基板です。
インターポーザーの素材には、代表的なものでシリコン・有機(樹脂)がありますが、ジョイント3では有機インターポーザーを対象として研究開発が行われます。
有機インタポーザーは、シリコンに比べて、材料や加工の価格が安いことなどがメリットとされてるものの、微細な加工が難しいとされていて、今後の研究開発が期待されています。
また、インターポーザーの製造方法も、円型ウェハ形状から四角いパネル形状に変更して、インターポーザーの取り数を増やすことを目指しています。
参考:EE Times Japan「「JOINT2」で試作 510×515mmのパネルインターポーザー」
これまでに進めている「JOINT」「JOINT2」や米国シリコンバレーで進めている「US-JOINT」の知見を活かして、参加している企業との共創により、パネルレベル有機インターポーザーに適した材料・装置・設計ツールの開発が加速されることが、期待されています。
ジョイント3に参加する代表企業
発表された2025年9月3日時点で、27社がジョイント3に参加しています。
この27社から、いくつかピックアップしてご紹介します。
レゾナック
所在地:東京都港区(本社)、下館事業所(南結城:茨城県結城市)など
強み:銅張積層板、感光性絶縁材料、感光性ドライフィルム、ダイボンディングフィルム、CMPスラリーと5つの半導体素材で世界シェアNo1。
JOINT3の活動拠点となる「先端パネルレベルインターポーザーセンター(APLIC)」を下館事業所(南結城)内に開設予定。
APLIC内に試作ラインを構築し、2026年に稼働を開始する予定。
採用実績大学:東京大、九州大、筑波大、千葉大、京都大、広島大、東京理科大など
大学連携例:東北大と、廃棄シリコンとCO2からSiCパワー半導体材料を作る技術を共同研究
東京エレクトロン(TEL)
所在地:東京都港区(本社)、北海道札幌市、岩手県奥州市江刺、宮城県黒川郡大和、東京都府中市、山梨県韮崎市藤井、熊本県合志市など
強み:塗布現像、ガスケミカルエッチング、拡散炉、バッチ成膜、プローバの5つの半導体製造装置で世界シェアNo1。
このほかにも、世界シェアNo2の半導体製造装置を複数販売しており、世界の半導体製造には欠くことができないメーカー。
採用実績大学:熊本大、東北大、九州工業大、電気通信大、東京大、九州大、東京理科大、筑波大、東京工業大、大阪大、東京農工大など
大学連携例:日米11大学で構成される半導体の人材育成と研究開発を支援する「UPWARDS(アップワーズ)」に参加
AGC
所在地:東京都千代田区(本社)、横浜市鶴見区、兵庫県尼崎市・高砂市、福岡県北九州市など
強み:フロート板ガラス、自動車用ガラス、車載ディスプレイ用カバーガラスなどガラス製品で世界トップシェア。
半導体関係では、EUV露光用マスクブランクスで世界2位。
採用実績大学:早稲田大、東北大、京都大、大阪大、九州大、慶応義塾大、同志社大、名古屋工業大、神戸大、東京理科大など
大学連携例:東京大学と従来の100万倍高速かつ超精密に、ガラスなどの透明材料を加工できる手法を開発
※このほか、キヤノン、荏原製作所、古川電気工業、日立ハイテク、JX金属、花王などなども参加しています。後日別記事または本記事更新で詳しく紹介予定です。
どうすればこれらの企業に就職できる?
上記の企業では、**理系学部(工学部・理学部・情報系)**の卒業生を多く採用しています。
特に採用が多い大学は:
- 東京大学・東北大学・京都大学・九州大学・東京科学大学(旧 東京工業大)
- 高専からの編入学ルートも多数
👉 高校生のうちから「英語・数学・物理・化学」をしっかり学び、理系大学を目指すことが大切です。
学習サポート:おすすめ教材・サービス
半導体分野を目指す上で欠かせないのは、基礎学力の土台づくりです。
📘 受験参考書
→ 「大学入試共通テスト対策 英語・数学・物理・化学」など
📱 スタディサプリ(リクルート)
→ 月額で高校授業〜大学受験まで学習可能。理系科目の映像授業が充実
👨🏫 オンライン講座(アクシブアカデミーなど)
→ 半導体系進学を見据えて、英語・数学・物理・化学を重点的に指導してもらえる
まとめ
レゾナックの「ジョイント3」は、日本の半導体を次世代へつなぐ重要な取り組みです。参加企業は世界シェアを持つグローバルプレイヤーばかりで、連携する大学も国内有数の研究機関です。
👉 半導体分野を目指す中高生は、まず「どんな企業があり、どんな大学が就職につながるのか」を知ることが第一歩。そのうえで、日々の勉強を積み重ねていくことが大切です。
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