「ラピダス」ってなに?ニュースでよく見るけど、正直よくわからない…
最近、テレビやネットニュースで「ラピダス(Rapidus)」という会社の名前をよく見かけませんか?
でも、「半導体」とか「先端技術」とか、ちょっと難しい言葉が多くてピンとこない…という人も多いはず。
ラピダスとは、日本の最先端の半導体をつくるために2022年に設立された会社です。
簡単に言うと、「超・小さくて・超・速いチップを日本でつくるぞ!」というプロジェクトです。
この会社が今、これほど注目されている理由は3つ:
日本政府が約2兆円もの予算を投じて、国を挙げて支援している
トヨタ、ソニー、NTT、NEC、ソフトバンクなど、日本を代表する大企業が数多く出資している
アメリカのIBMやベルギーのimec(アイメック)など、世界トップレベルの企業・研究機関と強力に連携している
つまり、ラピダスは単なる一企業ではなく、日本がもう一度「半導体で世界と戦える国になるための希望」として、日本国内で期待が寄せてられている巨大国家プロジェクトなんです。
どうしてそんなに重要なの?「半導体」が世界を動かしているから!
スマホやゲーム機、自動車、AIロボット、そして宇宙開発まで—— 現代のほぼすべての機械の中には、半導体チップが入っています。
このチップがないと、私たちの便利な生活は成り立ちません。
半導体は「現代の米(こめ)」とも呼ばれるほど大切なもの。
もし手に入らなくなれば、世界中の経済が大混乱に陥ります。
日本は、今から40年近く前の1980年代に、この半導体分野で世界一でしたが、いまでは韓国や台湾、アメリカに大きく遅れています。
特に台湾のTSMCの大躍進は聞いたことがあるかもしれません。
そんな中でラピダスは、世界最先端の「2ナノメートル」という超微細な半導体製造技術で、日本が最先端の半導体チップを作れる国として復活することに、チャレンジしています。
この技術が確立できれば、これまで以上に高性能で省エネなチップが作れるようになり、日本の産業全体に大きな影響を与えると期待されています。
「国の支援」ってちょっと不安…過去に失敗したんじゃないの?
はい、実はそこが大事なポイントです。 日本は過去にも、半導体を支援する国家プロジェクトをいくつも行いました。
たとえば「日の丸半導体」と呼ばれたエルピーダメモリは、政府の支援を受けながらも、残念ながら倒産してしまいました。
そのため、「また同じことを繰り返すんじゃないの?」という不安や批判の声もあります。
でも、ラピダスはこれまでとは少しちがう「本気度」が見えます。
海外との強力な連携
ラピダスは、 IBM(アメリカ)やimec(ベルギー)といった先端技術を行く世界の企業・組織と連携して、新しい技術を研究開発し、その成果を日本国内で製品化しようとしています。
過去のプロジェクトは、国産にこだわり、世界との連携の視点が弱かったとも言われています。
これは、過去の国家プロジェクトにはなかった大きな強みです。
ビジネスとしてのスピード感
設立からすぐに研究・工場設計に着手し、2027年には量産開始を目指すという異例の速さでプロジェクトが進んでいます。
2025年7月18日には、2nm GAA(ゲートオールアラウンド)トランジスタの試作を開始し、動作を確認したとの報道があったのはご存知かもしれません。

半導体製造には巨大な施設・設備を必要とするなかで、2024年12月に、半導体製造には欠かせないオランダASML製の極端紫外線(EUV)露光装置が導入され、わずか7か月ほどで試作品を完成させたのは、異例のスピードとの報道もあります。
世界的な人材の登用
ラピダスには、業界を熟知した国内外から優秀な人材が経営陣や技術者として集まっています。
例えば会長の東哲郎さんは、東京エレクトロンで社長・会長を歴任された人です。
また、社長の小池淳義さんは、日立製作所を経て、様々な半導体関係の会社のトップを経験の後、就任しています。
ラピダス社内には、国内外から様々な人材が集まっています。
半導体製造の専門家は、世界各地で活躍していることから、それらの技術者が北海道に集結しています。
北海道の工場建設はすでに始動中!

国からの巨額な支援は、北海道千歳市での工場建設という具体的な形で動き出しています。
IIM(イーム)とよばれる半導体開発製造拠点は、2023年9月1日に起工式を行い同月建設に着工しました。
そして、今年2025年4月にはパイロットラインを稼働し、2年後の2027年に量産を開始する予定です。
つまりラピダスは「過去の失敗から学び、世界と手を取り合って、もう一度本気でチャレンジしている」というのが最大の特徴なんです。
ラピダスって中高校生の将来に関係あるの?
もちろんです、大いに関係あります!
国内外から優秀な人材が集まって、新しいことにチャレンジしていますが、多くが半導体業界で経験がある研究者・技術者です。
そのため、ラピダスで作り出した新しい技術や、その技術の発展を担う、次の世代の育成が極めて重要です。
ラピダスは、将来の人材をとても大切にしていて、すでに日本の主要な教育機関とも連携を始めています。
例えば、北海道大学(北海道札幌市)とは、2024年6月に包括連携協定を結びました。

ラピダスの技術者を北海道大学へ派遣して講義を行ったり、北海道大学の最新研究成果をラピダスの技術者が学ぶといった相互交流が期待されます。
北海道大学の学生は、ラピダスの技術者から、最新の半導体技術を学んだり、一緒に最新技術の研究に取り組むこともあるかもしれません。
また、東京大学内で行う学部横断型半導体教育プロブラムでは、小池社長が講義を行うなど、様々な連携を深めています。
つまり、これから大学や専門分野を選ぶ高校生にとって、「ラピダス」は未来の就職先や研究分野として、非常にリアルで大きな選択肢になってくるということ。
日本政府は、ラピダスの支援と並行して、半導体人材育成を国策として進めています。
いくつかの大学や高専を支援していることから、学費支援や進学のチャンスも広がりやすくなるかもしれません。
半導体分野は、国として人材育成に力を入れている最重要分野のひとつです。
どんな勉強をすればいいの?理系だけじゃない!
ラピダスのような最先端の技術に関わるには、たしかに物理や数学、化学といった理系の力が求められます。 でも、それだけでは足りません。これからの半導体開発には、多様な視点とスキルが必要とされています。
✨ 英語力: アメリカのIBMなど海外の技術者や研究者と直接やりとりする場面も非常に多いので、必須のスキルです。
✨ 情報・プログラミング: AIを活用した設計や生産管理、装置の制御など、ITスキルは半導体開発のあらゆる場面で求められます。
✨ コミュニケーション力: 複雑なプロジェクトを成功させるには、国内外の多様な専門家たちと協力し、チームで働く力が不可欠です。
✨ 倫理観・社会貢献意識: 半導体は世界のインフラを支える基盤技術であるため、倫理的な視点や社会貢献への意識も重要になります。
つまり、ラピダスが求めているのは、理系・文系といった枠にとらわれず、**「未来を創る熱意」と「新しいことを学び続ける意欲」**を持つ人なんです。
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目的 | 学び方 | 参考サイト |
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まとめ:ラピダスは、未来の自分のチャンスかもしれない
ラピダスという名前は、まだ耳なじみがないかもしれません。
でも、この会社がやろうとしていることは、日本の未来と、そして次の時代を生きる中高生のみなさんの可能性にとって、本気の挑戦です。
ラピダスの新しい技術が使われた製品が、世の中に出るのは目前です。
しかし、ラピダスに限らず、どんな新しい会社にも困難が待ち受けています。
新しい製品を開発した時には、不良品の数をできるだけ少なく(歩留まり率の向上)、大量に生産できるかや、そもそも、自分の製品を沢山買ってくれる会社を探すことなど、ビジネスとして成立できるかが、これから数年の大きなチャレンジになります。
このチャレンジに加わりませんか?
「ちょっと興味あるかも」——その小さな気持ちが、未来への大きな一歩です。
ここで得た情報が、あなたの進路や学びのきっかけとなり、未来の自分の選択肢を広げる助けになることを願っています。
ぜひ、ラピダスと半導体業界の動向に注目し続けてくださいね!
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